ここはクソみたいなインターネッツですね

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社員に「クリエイティビティ」,「イノベーション」を求める企業と支払う対価について

銀の弾丸、クリエイティビティ・イノベーション

クリエイティビティという言葉の功罪、またその陰にあるクリエイティブでない仕事の重要性についてはtechcrunchに良い記事があったのでそれを紹介する。

クリエイティビティの罠――実務的な業務の重要性 | TechCrunch Japan

クリエイティビティは今やクリエイティブ職にのみ求められるものではない。営業、エンジニア、ディレクター、デザイナー、マネージャー、経営者。様々な職種の人間が多方面でクリエイティビティを発揮し、日々の業務やはたまたビジネスそのものにドラスティックな転換、言い換えるならばイノベーションをもたらすことが求められる時代となった。社員のクリエイティビティを高める方法を書いた本が経営者に売れ、自身のクリエイティビティを高める生活習慣ノウハウを書いたコラムが当然のように読まれる時代、各個人が社会に対しインパクトのあるイノベーションを起こす時代。

率直に言って、本当にそんな時代が来てるのか疑問に思う。僕が知る限り、僕の身の回りで個々人がクリエイティビティを発揮して破壊的イノベーションを起こしまくるような社会や組織が構築されたことはない。体面上そういったことを推奨する組織に属していたことはあるけれども、それは具体的な計画や還元に基づくものではなく建前として掲げられたものであったし、悪く言えば先進的な言葉を表面上取り入れただけの古びた夢想を個々人に押し付けようとしているだけだった。これからはコミュニケーション能力の高い人間を採用するといいらしい、これからは高いクリエイティビティを持つ人間を採用するといいらしい。なんとなくそんなような採用目標が立てられ、大して給与も上げずにより時代にあった能力の高い人間を採ろうとする。それで本当にイノベーティブで高いクリエイティビティを持つ組織が出来ると思っているんだろうか。高いクリエイティビティでイノベーションを起こし続けられるような人間が何故今更、杜撰な理想を抱く組織を必要としていると思うのだろうか。

リーダーシップがあって、クリエイティビティもあって、努力を惜しまず会社に貢献してくれる人材。断言しよう、そんな人間はいない。万が一いたとして、常識の範囲内の安月給で御社だけに雇われる理由がない。僕は本格的な採用には関わったことのない人間だが、無知を承知で言わせてもらう。企業というものは人を採用する際何故か自分のことばかり考えてしまい相手の視点に立てなくなってしまう。どんな人材が欲しいか、その一点のみで採用活動を進めてしまう。企業というものは利益追求のための組織であるから、企業が欲しい人材を企業が出したい金額で募集をかけるのは当然のことのように思えるが、しかし自分が欲しがっているものを正当に評価出来ていない点は僕からはとても歪に見える。欲しいものがいくらするのか。それをまともな感性で調べることも、まともな頭で想像することも出来ないなんてそこらへんの子供にも劣る愚かさだ。欲しいものの値段、扱い方、どう使うと役に立つのか、自分にそれが扱えるのかくらい調べてから欲しいと言いなさい。

クリエイティブ、イノベーティブな人材というのは、それさえ有れば現状を打破し得る銀の弾丸かなにかと勘違いされている。それは確かに銀の弾丸になり得るものかもしれない。しかし果たして、あなた方にその弾丸を扱う度量、環境、技術、支払える対価、銀の弾丸銀の弾丸足らしめそれを維持させる準備があるのか一度胸に問うてみるべきだ。