ここはクソみたいなインターネッツですね

逆にクソじゃないインターネッツってどこ

俺の前で未来の話をするのはやめろ。繰り返す。俺の前で未来の話をするのはやめろ。

 言いたいことは掲題に尽きるのでここからは余談、と今文字に起こしてみて「そもそも余談じゃないことなんて書いたことあったか」と情けない気持ちになった。よって改めてタイトルコールをすることでアニメの最終回的なお茶の濁し方をして自分を慰めることとする。余談の極致ではあるが僕はお茶ならおーいお茶か烏龍茶が好きで生茶はあまり好かない。

俺の前で未来の話をするのはやめろ。

 僕が以前から常々叫んできた主張の一つに「未来のことなんてわかんないんだから、何かを決めつけることはやめろ。生き急ぐな」というものがある。というものがある、と言ってみたものの、いや知らねえよという諸兄の思いも理解できる。だがちょっと待ってほしい。他の主張には「俺専用橋本環奈が欲しい」だとか「水族館の水槽で飼われたい」だとか間違いなく世間の共感を得られる牧歌的なものもあるのでその尊さに免じて僕の話を聞いてほしい。

 未来の話を嫌うようになったきっかけはなんだったろうか。なんとなく最近似たようなことを書いた気がすると思い昔の記事を漁ってみると、二年ほど前に似たようなことを書いていた。

1年後、3年後、5年後どうなっていたいですか?という質問 - ここはクソみたいなインターネッツですね

 尚、二年の月日が流れた今でも全く同じことを叫んでいる僕の成長の無さやすぐ同じ話をしたくなってしまう陰険さなど僕に不利な事実については今回の話と直接関係ないので放っておいて欲しい。

 最近、「不確実性」というなんだかよく分からない言葉が(特にそれっぽい言葉を好むビジネスマン向けの)オシャレワードとして世に氾濫していることは皆様よくご存知の通りである。その言葉を借りるのならば、僕の主張は「不確実性とは向き合えない。諦めろ。」ということになる。また身もふたもない話になってきたが、不確実性なんて難しい言葉を乱用するやつと、それを最先端なものとして崇める社会が悪い(つまり僕は悪くない)。

 そもそもビジネスマンが好む言葉は難しすぎる。なんなんだよビジョン/ミッション/ゴールって。何を指してるのか毎回毎回ググって「ビジョン・ミッション・ゴールの違い」というようなクソ記事をこれまた毎回熟読しないといけない僕の気持ちにもなって欲しい。というかそんなクソ記事がわざわざ作られるような、説明が必要とされる言葉を使うなよ、と僕は言いたい。もっと直感的な言葉を使ってくれれば少なくとも僕にかかるストレスは減り僕が撒き散らす怨嗟もいずれ幸福の鐘の音となり人類の生産性は保たれやがて宇宙に平和が訪れるであろう。これは、諸兄がこれ以上難しい言葉を使うのであれば僕だってよくわからない話を繰り広げるぞという布告、つまりは無慈悲な報復も辞さないという脅迫である。雲が夕日に照らされて美しく輝くこの季節、貴様らにおいてはこのことを臓腑という臓腑に銘じて欲しい。そっちがその気なら的外れな季節の挨拶を小学校の校長のように延々と貴様の母親へと突きつけることも僕には可能なのだから。いいか、これだけは覚えて帰れ。つまりはお前らが悪い。俺は悪くない。

来年の話をすると鬼が笑い俺が泣く。

 話が大きく逸れたのはいつものこととして、掲題の件に戻ろう。今更ではあるが大切なことなので言っておく。僕には、未来はわからぬ。僕は激怒はしないが、未来のことなど何一つわからぬ男だ。今夜食べたいものさえ決められず、未だこの文章の終着点を見据えることもできていない。だが、これは決して恥じるべきことではないと考えている。人間という生き物は理解、把握、掌握できない物事を恐れるものだ。怖いからこそ、計画や規範というものを打ち立て不確実性や未来を制御しようと試みるのだ。僕から言わせてもらえば、そのような人類の熱意ある挑戦はちゃんちゃらおかしい。いやいや無理無理絶対無理だからマジでやめとけ間違い無いっしょといった感じである。

 無理なことを試し続けるその根気というか執念には多少の感動を覚えないこともない。が、まあそれは元気な人がやってください。お願いだから巻き込まないでください怖いから。というのが僕の(負け犬的)思考だ。例えば20年前、携帯電話がこんなにも小さくなり多機能になると絶対の自信を持って世間を口説けた人がどれだけいるだろうか。フリマアプリで現金がトレーディングカードと称されて売買される時代が来ると、誰が予想出来ただろうか。こんな例えは僕に有利すぎて、どこか卑怯に思えるかもしれない。しかしそれは、過去は未来よりずっと確実に決まっており、未来の予測が非常に困難であるとあなたの脳がどこかで認めてしまっていることの証明に他ならない。

 いつ来るか、そもそも来るかもわからないシンギュラリティに期待したり、この仕事はAIに奪われるとか奪われないとかそんな話で無駄に一喜一憂するのはすぐさまやめろ。怖いなら怖いでいいんだから、明日地球がまだ存在しているかどうかさえわからないような未来、巨大な不確実性と無理に向き合おうとするな。何より、それを人に強いるのをやめてくれ。

 僕は、僕なりに人類であることを自認している。つまり、僕は他の人類と同じようにわからないものに怯えている。そんな僕に未来の話をするなど、凶器をちらつかせることと何が違うというんだ。怖いからやめろ。俺の前で未来の話をするのはやめろ。

 どうでもいいけど前半の方が書いてて気持ちよかった。奇しくもこれもまた予想外のことだったわ。